町田ぼたん園と自由民権の碑

東京のソメイヨシノの開花が3月24日、満開が3月30日という。ソメイヨシノの満開が過ぎ、町田ぼたん園のぼたんの蕾が膨らんで来る頃、ひっそりとしたぼたん園では散り際の桜と共に八重桜、ヤマザクラ、ハナモモやシャクナゲが綺麗に咲きそろう。ぼたんの見頃以外は入場無料。

朝日新聞で連載中の小説 門井慶喜作「夫を亡くして」は、北村透谷の妻ミナが主人公。ぼたん園の「奥庭」と呼ばれている門の近くに自由民権の碑があって、ここに石坂昌孝の屋敷があった。
石坂昌孝(1841―1907)は明治時代の自由民権運動の指導者・政治家で娘が美那(ミナ)。ミナは夫透谷の死後アメリカに留学し帰国して池袋に創立された豊島師範学校の英語教師となった。豊島師範学校は後の東京学芸大学 学芸学部の母体のひとつ。

町田ぼたん園の入口から

自由民権運動に参加した文学者、天才詩人北村透谷は、
一八八五年明治一八の夏、三多摩民権運動の最高指導者
である石阪昌孝の長女、美那子とはじめてここ石阪邸で出
会った。民権壮士とは異なった思索型の青年に、美那子は
強い印象を抱いた。二人は二年後に東京で再会し、"全生命
を賭けた恋愛" から結婚へと突き進んだ。
透谷文学に大きな影響を与えたキリスト教への入信も、この出会いがあったからである。
自由民権と透谷文学に深くかかわるゆかりの地を顕彰す
るため、この碑を建立する。

記事:写真 赤川均(S41E)